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“空の女神”ヌト
ヌトは古代エジプト神話における天空の女神です。大気の神シューと湿気の神テフヌトの娘であり、兄である大地の神ゲブを配偶神としています。彼らの間に、冥界の神オシリス、豊穣の女神イシス、戦争の神セト、葬祭の女神ネフティスが生まれました。シューによってゲブから引き離され、天と地が分かれることとなりました。ヌトは星空を象徴し、その体には星々が輝いています。また、彼女は死と再生を司り、葬送の女神としての側面も持っています。
“地球の神”ゲブ
ゲブは古代エジプト神話における地球の神です。天空の女神ヌトの兄弟であり、二人はエジプトの世界観において、天と地を代表しています。ゲブは農業と豊穣を司る神でもあり、地面の神として地震を引き起こす力を持つとされていました。また、彼は生物の父とも言われ、エジプトの土地とその肥沃さを象徴していました。ゲブは古代エジプト人にとって大地と自然の力を表す重要な神でした。
“死者の守護神”ネフティス
ネフティスはエジプト神話における葬祭の女神で、死者の守護神です。大地の神ゲブと天空の女神ヌトの間に生まれた四柱の神々の末妹で、兄弟には冥界の神オシリス、豊穣の女神イシス、戦争の神セトがいます。彼女はセトと結婚しましたが、長兄のオシリスに深い愛を抱き、彼との間に子供(アヌビス)を授かりました。セトの怒りを恐れてアヌビスを捨てたものの、姉のイシスと共にオシリスの復活に協力しました。このことから、死者の守護神としての役割を果たし、葬祭の女神としても知られるようになりました。
“ナイル川の神”ソベク
ソベクは古代エジプト神話のナイル川の神で、ワニの頭を持つ姿で描かれています。彼はナイル川の肥沃さと水の力を象徴し、ナイル川に生息するワニと深い関連があります。ソベクは水と豊穣、軍事的な力を司るとされ、ナイル川の洪水を調節する神としても崇拝されていました。また、王権と結びついており、ファラオの保護者としても知られています。彼はエジプトの信仰体系において重要な役割を果たしました。
“創造と工芸の神”プタハ
プタハは古代エジプト神話における創造と工芸の神です。メンフィスの守護神として崇拝され、彼は宇宙の創造者とされています。プタハは物質的なものを生み出し、建築や工芸の神としても信仰されました。彼はしばしば、タイトな衣装を身につけ、頭に王冠を戴き、左手には創造のシンボルを持つ形で描かれます。プタハはエジプト神話の中で重要な位置を占め、創造と職人技の源泉として尊敬されていました。
“戦争の女神”メンヘト
メンヘトは古代エジプト神話における戦争の女神です。彼女はしばしばライオンの頭を持つ姿で描かれ、その獰猛さと力強さを象徴しています。メンヘトは主に保護と戦闘の神として崇拝され、特に国境や国家の安全を守る役割を担っていました。また、彼女は創造神プタハの配偶神としても知られ、メンフィス地域で特に信仰されていました。メンヘトはエジプト神話において戦士と王の保護者として重要な位置を占めています。
“毒と治癒の神”セルケト
セルケトは古代エジプト神話における毒と治癒の神です。蠍の女神としても知られ、彼女は毒蛇や蠍に関連した危険から保護する役割を担っていました。セルケトはまた、死者の旅を守り、葬儀の儀式において重要な役割を果たすとされます。彼女の姿は通常、蠍を戴く女性の形で描かれ、その強力な力と同時に癒しの側面を象徴しています。セルケトはエジプトの信仰体系において、破壊と再生、保護と治癒のバランスを象徴する神として尊重されていました。
“創造の神”アモン
アモンは古代エジプト神話の創造の神で、後に最高神として崇拝されました。彼は不可視であり、風の神としても知られています。アモンはテーベの主神であり、太陽神ラーと習合してアメン・ラーとなりました。この形態で彼は宇宙の創造と太陽の運行を司る神となり、王権の保護者としても崇拝されました。アモンの信仰は新王国時代に最高潮に達し、エジプトの宗教と政治に大きな影響を与えました。
“一時的な唯一神”アテン
アテンは古代エジプト神話において、アクエンアテン王によって一時的に唯一神とされた太陽神です。アテンは太陽円盤として崇拝され、アクエンアテンは彼を唯一の神として推進し、他の神々の崇拝を禁止しました。この宗教改革はエジプトの多神教伝統に大きな変化をもたらしましたが、アクエンアテンの死後、古い信仰体系が復活し、アテンの地位は低下しました。アテンの時代はエジプト宗教史において特異な時期として注目されています。
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