北欧神話の主要な神達の紹介(後半)

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“原初の霜の巨人”ユミル

ユミルは北欧神話の原初の巨人で、霜の巨人族の始祖です。氷塊が溶けて生まれ、原初の牝牛アウズンブラの乳で成長しました。ユミルの子孫たちは神々と対立していたが、オーディンとその兄弟によってユミルは倒されました。その後、彼の体は解体されて世界が形作られました:血からは海と川、身体からは大地、骨からは山、歯と骨からは岩石、髪の毛からは草花、そして頭蓋骨からは天が造られました。ユミルの名は「混成物」や「両性具有」とも解釈され、一人で男性と女性を生み出す能力があったとされています。この神話は世界創造の説話として重要であり、ユミルの存在とその解体が世界の形成に至る基盤であるとされています。

“愛と結婚の女神”フリッグ

フリッグは北欧神話における愛、結婚、豊穣を司る女神で、オーディンの妻としても知られています。彼女は最高位の女神で、玉座フリズスキャールヴに座る権利があります。予言の能力を持つとされていますが、それを明かすことはありません。フリッグは息子バルドルをロキの悪意で失い、その悲劇は古エッダの『巫女の予言』でも言及されています。彼女の名前は金曜日(Friday)の由来でもあり、ローマ神話のウェヌスとも関連付けられています。フリッグは賢母としての性格で、派手で奔放なフレイヤと対照的です。魔術セイズに長け、鷹の羽衣を持ち、黄金に強い欲望を持つともされています。

“正義と勇気の象徴”テュール

テュールは北欧神話において軍神とされ、勝敗を決定する神としての役割があります。元々はインド=ヨーロッパ語族の主神で、ギリシャのゼウスやローマのユーピテル、ヴェーダ神話のディヤウス・ピターと同じ起源を持つとされています。しかし、2世紀以降、オーディンやトールへの信仰が高まり、彼は主神の座を失いました。特に有名なエピソードは、獰猛な狼フェンリルとの対峙です。テュールはフェンリルを拘束するために自らの腕を犠牲にしましたが、フェンリルによって腕を噛み切られました。古くから「テュールのように強い」「テュールのように賢い」と評されるほど、彼の名は勇敢さと聡明さで知られています。現在では主に軍神として描かれることが多いです。

“美と愛の女神”フレイヤ

フレイヤは北欧神話における美と愛の女神で、豊穣神フレイの双子の妹です。非常に美しく、力強い性格を持ち、愛情、戦い、豊饒、そして魔術セイズを司っています。彼女は戦場にも繰り出し、猫の戦車を駆って死んだ英雄たちを自分の館へ連れて帰る役割も果たしています。その活動はオーディンとも共有されており、彼らは死んだ英雄たちを半々で分け合います。また、フレイヤは特別な鷹の羽衣を持ち、これを着ると鷹に変身して飛ぶことができます。美しい黄金製(または琥珀製)の「ブリーシングの首飾り」も所持しています。その美しさと多様な能力から、神々や妖精、小人、巨人にまで憧れられています。

“海の主、風の使者”ニョルズ

ニョルズは北欧神話のヴァン神族出身の海神であり、航海と豊穣を司っています。後に人質としてアース神族のもとに移りました。彼の力は風を制御し、海を静めるもので、その住居「ノーアトゥーン」は海に近い場所にあるとされています。ニョルズは豊穣神フレイと美と愛の女神フレイヤの父であり、彼らは彼の妹との関係から生まれたとされています。巨人族のスカジとの結婚は不幸に終わり、彼らは生活スタイルの違いから最終的に別れました。スカジは山での生活を好み、ニョルズは海辺での生活を望んでいたためです。北欧の地名にしばしば彼の名が見られ、特に「ニョルズの神殿」や「ニョルズの森」「ニョルズの耕地」など、彼が広く崇拝されていたことがうかがえます。

“オーディンの対抗者”ヴァフスルーズニル

ヴァフスルーズニルは北欧神話の『古エッダ』に登場する知識豊富な巨人です。彼は主神オーディンと知恵比べを行い、その過程で多くの難問に挑みました。最終的な質問はオーディンが「バルドルが死んだとき、私は息子の亡骸に何と声をかけるか」と尋ねたもので、この質問にはオーディン自身しか答えられないため、ヴァフスルーズニルは敗北しました。その結果、彼は命を失いました。ヴァフスルーズニルは歌の中で「イームの父」とも呼ばれており、その身元は北欧神話において特別な重要性を持つ要素とされています。このエピソードはオーディンの知恵と狡猾さを強調する一方で、ヴァフスルーズニル自身も非常に知識が豊富な存在として描かれています。

“宿命の守護者”ウルズ

ウルズは北欧神話に登場する運命の女神で、ノルンたち(運命の三姉妹)の長女です。彼女の名前はもともと「織姫」や「編む者」を意味し、後に「運命」「宿命」「死」に関連する意味を持つようになりました。ウルズは一般に過去を司る女神とされ、運命を決定するためにルーン文字を木片に刻む役割を担っています。彼女たちは神聖な「ウルズの泉」の近くに住み、世界樹ユグドラシルのケアをしています。この泉は全ての水の源とされ、非常に美しい場所です。ウルズは人々が生まれる前にその運命と寿命を定めるとされ、その力は最高神オーディンですら逆らえないほど強力です。ウルズは運命や宿命に関わる非常に重要な存在であり、神話内での役割も極めて大きいです。

“戦闘の巨人”フルングニル

フルングニルは北欧神話に登場する巨人で、特にオーディン神との競馬や雷神トールとの決闘で知られています。彼は自慢の駿馬グルファクシでオーディンの馬スレイプニルと競走し、ヴァルハラ宮に入ってしまいます。オーディンがもてなすも、フルングニルは酔って暴言を吐き、トールとの後日の決闘を約束します。決闘では、彼は砥石と楯を持っていましたが、トールのミョルニルの槌によって頭蓋骨を砕かれ敗れ去ります。その後、トールがフルングニルの巨大な脚に閉じ込められた際、トールの生後3日目の息子マグニが脚をどけ、トールは彼に褒美としてグルファクシを与えます。フルングニルは勇敢だが、最終的にはトールに敗れました。

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